既にあちこちでニュースになっていますが、週末、チリで大きな地震がありました。
今回中心的な被災地になっているところは個人的にこれまで研究調査でよく訪れていた場所が多く、テレビやネットのニュースで流れる映像を見ると本当に胸が痛みます。地震後の混乱から夜間外出禁止令が発令中のコンセプシオン市街はもちろん、クリコで崩れ落ちた教会や瓦礫だらけのタルカの住宅地など、友人・知人の多い地域だけに本当に胸がしめつけられるような思いです。
サンティアゴ在住の人々とはかなり早い段階からFacebookやSkype経由で連絡がつきましたが、地方とはなかなか連絡がつかず、チジャンやリナレスといった中南部内陸についてはニュースでも情報が出てこないので心配で仕方なかったのですが、日本時間で昨夜あたりからようやくそのあたりとも連絡がとれるようになってきました。
連絡がついた人たちからの情報では、中南部内陸で大きな被害が出ているのは、古くて大きな建築物の多い街の中心部とそれに近いエリアの住宅街のようです。それと農村部ではアドべの住居。幸い、思いつく限りの友人・知人のほとんどについては無事を確認でき
(住宅が全壊したクリコの家族もいましたが、皆命は無事でした)、車内やテントでの生活を余儀なくされながらも電話の向こうの声は予想より明るく、聞いていて復興に向けた一筋の光を感じました。
一方で、彼らが伝えてくれたことで共通していたのは、とにかく沿岸部の被害が大きいということでした。皆口々に、「ここも揺れたけど幸い人への被害は少ないし、むしろひどいのは海の方。」と話していて、津波被害の深刻さが伺われました。政府発表の死者数は700人強となっていますが、おそらく最終的にはかなり膨れていくことでしょう。救助隊の編成・派遣に時間を要している政府や軍に対するいらだちの声も少なからず聞かれました。
今後は、道路網があちこちで寸断されている状況下での物流の混乱や、それに伴う物価上昇・治安悪化などが懸念されます。サンティアゴ在住の日本人研究者の方によると、生活インフラが概ね復旧と報道されているサンティアゴのbarrio altoでも、食料・日用品の買い出しやガソリンスタンドでの給油、ATMでの現金引き出しといった基本的なサービスで長い行列を覚悟しなければならない状況ということでしたから、それ以外の地域はそれどころでは済まないことは容易に想像されます。
普段であれば、サマータイムが終わる直前のこの時期は、バケーション明けの土産話に花を咲かせつつ皆が夏との別れを惜しみ、街に戻ってきた喧騒に忙しなさを感じつつも、どことなく漂う長期休暇の名残りののんびり感にまだ身を任せたくもあり…という頃です。私が歩いたこの時期の中南部の風景は、残暑の強い日差しと木陰が作るコントラスト、ブドウの赤く色づいた葉、中央広場を時折吹きぬけるささやかな風が印象深く、のどかでありながらも本格的な秋の収穫期に向けた活力に溢れていました。そんな季節の終わりを襲った今回の大地震。被災地となった多くの地域への一刻も早い援助物資の普及と生活インフラの復旧、そして何より未だ行方不明の方々の救助を切に望みます。本格的な雨のシーズンがやってくる前に、出来る限りの復興が進んで欲しい。チリの人々のエネルギーを信じています。